PREMIUM:ココにしかないレアなオリジナルコンテンツが満載!
ブリテュッシュ・ロックのルーツにオリジナリティを絶妙なバランスで融合し、流れの早いUKのシーンで長く人気を誇ったスーパーグラス。そのフロントマンであるギャズ・クームスが初のソロ『Here Come the Bombs』をリリースし、先日の "Hostess Club Weekender" で初の日本公演で音楽に対する真摯な姿勢を見せ付けてくれた。今回は「スーパーグラスは青春のひとつ」というストレイテナーのホリエアツシとの対談がこのタイミングで実現。バンドのフロントマンであり、ギタリスト&ヴォーカリスト、そしてメインソングライターでバンドもソロも経験しているという共通項の多い二人、音楽観も似ているのだろうか?

Interview & Text : Yuka Ishizumi
Photos : Akira Takahashi (CRYSTAL-STYLE)
<Gaz Coombes × Atsushi Horie (STRAIGHTENER / ent) Special Talk Session>
 
今回はバンドのフロントマンでもあり、ギター&ヴォーカルで、しかもメインソングライターで、互いにソロも経験しているという共通点の多い二人にいろいろ伺いたいのですが、まずバンドでの曲作りで大事だと思うことはなんですか?
そうだね。バンドは個々の強みを活かすことかな。スーパーグラスの場合、素晴らしいダニーというドラマーがいたし、他のメンバーも素晴らしかったから。それをひとつにしたらすごくパワフルになるから、それが一番重要だったね。
共感しますね。僕のバンドはメンバー一人ひとりが個性が強くて、前に出るタイプの人が揃ってるから、そのぶつかり合いでいい曲が生まれるっていう。
そういう情熱は大事だね。ぶつかり合って例えば悪いことが起こったとしても、そういうのが徐々に曲にとって良くなっていくのがバンドにとって重要だと思う。
二人は同世代でもありますね。
すごく若い時にデビューしてますね?
うん。EMIと契約した時、まだ17才だったけど、最初にバンドを始めたのは15才の時だった。
僕も始めたのは15才で、僕も(レコードメーカーは)EMIなんですけどサインしたのは25の時ですね。
そうなんだ。
けっこう日本はバンドが成功するまでには時間がかかる国だと思う。
そうやってじっくり時間をかけるのはいいことだと思う。イギリスの場合、ホントにすごく早くデビューしても流行りがどんどん変わっていくから、1年で人気がなくなったりしてね。そんな中で僕たちはすごくラッキーで、デビューした頃に自分たちの音楽を求めてくれる態勢が整っていたから。
 
二人の「これがなかったらバンドをやってなかったかも」という出来事はありますか。
僕たちの始まりは、学生の時、ホントにつまんなかったから友だち同士でバンドを始めたっていうところがあって。だから最初にやったコンサートは学校だったんだ。でもみんながすごく踊ってたから校長先生が入ってきてすぐ止められたんだけど。
(笑)。どんな曲をやったんですか?
その頃はカヴァーが多くて、ダイナソーJr.、フリーク・マシーン、キュアー、スミス、プリミティヴスとか。で、2、3曲オリジナルもあったんだけど。それをやったことで味をしめて、「バンドやりたいな」って気持ちになったね。
僕も高校生の時に友だちと集まってお金を出し合ってライヴハウスを借りて、ライヴをやったのが最初なんですけど。僕らはその時からオリジナルの曲を作ってて。でもみんなが知ってる曲をやらないと盛り上がらないからグリーン・デイとかカヴァーしたりして。
ハハ。学校以外に14才の頃、ライヴをやった経験があるんだけど、自分たちの曲で「You Keep Punching Me」って、ちょっとパンクロックっぽい曲があって。それをまだ甲高い、幼い声だったんだけど、やった時にパンクスの兄ちゃんみたいな人がノってて、印象に残ってるよ(笑)。
ホントにスタートが早いですよね。
自分でもよくわからないけど、音楽はすごい好きで。家に一杯レコードがあったっていう影響も大きいと思う。僕の叔父が旅行に行く時とか、どっとレコードを置いていってくれて。10、11才の時に、セックス・ピストルズ、ニール・ヤング、パティ・スミスとか、スティーヴィー・ワンダーだったりっていうレコードを聴いて。だからまぁ彼のせいでこうなったとも言えるんだけど(笑)。そこで目覚めたっていうのはあるね。
ソロを聴いても思うけど、ギャズはすごく音楽が好きな……もちろん、自分もアーティストだから、その視点から見て、すごく音楽が好きなアーティストだなと思いますね。それはスーパーグラスの時もアルバムが出るごとにちょっと作風が変わったりとか、新しい音になったかと思えば、ちょっと古い音に移っていったりとか。それがホントに音楽を楽しんでるっていうのを感じるというか。
今回のソロは2012年にきちんと作ったっていうサウンドにしたくて。ヴィンテージの機材も好きだから、そういう機材も使いながらも、新しいドラムのプログラミングだったりとか、そういうものも取り入れて、古いものと新しいサウンドを混ぜてフレッシュなアルバムを作りたかったんだ。
すごく共感するし、影響を受けますね。
すごく嬉しいよ。ソロをやることで前進したかったっていう気持ちもあるし、スーパーグラスと同じことはやりたくないっていう中で…でも結局ソロだから同じことはできないっていうのもあるんだけど。ソロだから自分でドラム・プログラミングしたり、ヴァイオリンから始めてみたりとか、いろんなことができて、ホントに新鮮だった。
 
ホリエさんはバンドとソロの違いはどんなところに感じますか?
バンドの良さと宅録の良さっていう違いがあって。時間かけて自分が納得するまで追求できるのがやっぱりソロで。で、なんかこう、他の人になれるような気がするっていうか。バンドでやってると人間同士の関係がすごく大事だから。あとバンドは瞬発的なセンスの爆発みたいなものが大事だし。
僕もそう思う。自分の行きたい道を歩む自由さがソロにはあると思う。外れても誰も止めてくれないから。でも自分の奇妙な道に行ってしまったり、困難にブチ当たったりするのを信じてるタイプで。自分で冒険していろんな道に行けるところが素晴らしいところだと思うね。
今回のアルバムで特にその奇妙な道にハマり込んだ曲といえば?
「ユニバーサル・シネマ」かな。この曲はAメロ、コーラス、Bメロみたいな繰り返しよりも、もっと世界観を広げた曲にしたくて。ドラムのビートが面白かったり、イントロがすごく長かったりって曲なんだけど、きっとバンドだったらダニーが「そんなのつまんないからやめようよ」って口出してたような曲だと思う。どちらかというとサウンドトラックっぽい感じに作りたかったんで、けっこう違う道に行ったなって。
ホリエさんはこのアルバムにどんな感想を持ちましたか?
いや、ホントに素晴らしかったし、ロックとシンセとかドラムのサウンドとかの混ざり方がギャズっぽいなというか。生ドラムみたいな打ち込みの音とか好きですね。
アリガトウ! 僕も君たちの映像を観せてもらったんだけど、素晴らしいバンドで。君のヴォーカルの力強さに感動したし、バンド全体もプレイも締まっていて、まだCDを聴けてないけど早く聴きたいし、ライヴも観てみたいね。
ありがとうございます。ちなみにこれ(『SOFT』)はアコースティックというか、ネオアコ集みたいなアルバムなんです。
OK、楽しみにしてるよ。
ギャズのソロ曲にもアコギ+シンセアレンジのものがあったりして、混ぜる感覚の近さを感じたんですけど。
すごい、精神が繋がってる。なんかこんな地球の裏側に来て、同じようなところに立ってる人に会えるのは嬉しいな。
ギャズっぽいっていうのは、音楽で遊んでる感じと、ギターサウンドや声やメロディがずっと普遍的で。なんていうか、もう、彼でしかないオリジナリティがあって、しかもそれはスーパーグラスのファースト(アルバム)の時から、いろんなものを吸収して、でもオリジナルな音が鳴ってたんで、そういうのがブレないで一貫してあるなと思う。
そうやって感想を聞けて嬉しいなと思うのは、自分でやってるとそうやって客観的に見るのが難しいから。あと、ソロを初めてすごく「自分の声っていうのはどういう声なんだろう?」っていうのは楽しみだったんだよね。
たしかに発見は多いですね、ソロをやると。
 
ところで、今回のギャズのソロアルバムをプレスは…漠然とした評価だなぁと思うんですが…レディオヘッドとも比較されていることについてどう思いますか?
なんかすごい不思議だなと思っていて。ただ単にジャーナリストたちが怠けているのかな?と思っちゃうくらい。
ハハハ。
まぁ、エレクトロニックなエレメントがあるからそういうふうに言われたのかなと思うけど、彼らって素晴らしいバンドで、自分は彼らみたいにはなれないし、だからこそ自分のオリジナリティを持てればなって思うよ。たとえば“オックスフォードの音”って、みんなに定義されてるものより、もっと違う何かがあるかもしれないなと最近思ってて。ちなみにオックスフォードって恥ずかしがりの人が多いから、けっこう僕もひねくれてるタイプで、アグレッシヴな気持ちはあるんだけど、それを出せない。だからそれを音楽で初めて表現できる人も多いのかもしれない。
僕は九州の人間なんですけど、九州人もすごく熱いんだけどそれを表に出さないっていうか、ひねくれた感じっていうのはあるんですよ。
似てますね(笑)。
ハハ。たぶん、僕と1時間話すより、アルバムを通して聴いてもらったほうが、自分の性格っていうのはわかってもらえるかもね。
ハハハ。
では、最後に今年、二人が音楽をやる上で心に留めていることを教えてください。もしくは今後の予定などを。
自分の音楽人生、ほとんどバンドをやってたから今年は新しい人生のチャプターでもあるので、大切に思っているのは、いろいろ冒険すること。音楽をいろいろ書き続ける中で、自分の作品以外にバンドのプロデュースだったり、映画のサウンドトラックだったり、そういうことをやっていきたいなと思ってるんだ。
僕も冒険っていうか、自分の中では音楽を表現して伝える相手に向けては、面白いものとか、びっくりさせたいっていうのはずっとあるんですけど、なんかまさに今、なんですけど、歌で表現することの可能性にちょっとトライしたいなと。自分のこれまでになかった歌のキャラクターとかをもっともっと引き出していければいいなと思います。
たとえばすごくソフトな、ルー・リードっぽいヴォーカルはどう?
あ~。
僕は今までけっこう甲高い声でやってきたけど、ソフトな声を試してみたらすごく楽しくて。君は素晴らしいヴォーカリストだからなんでも試して作り上げられると思うよ。
ありがとうございます(笑)。
ギャズ&ホリエのサイン入り色紙をプレゼント!!
ギャズ&ホリエのサイン入り色紙を2名様にプレゼントいたします。
ご希望の方は下記のリンクからご応募ください。
締め切り:2012年9月10日

ご応募はコチラから

Gaz Coombes Official Website
http://www.gazcoombes.com/
STRAIGHTENER Official Website
http://www.straightener.net/
ent Official Website
http://entjp.net/